家族信託の手続きは何から始めればいい?流れを解説!
老後の資産運用や相続税対策などについて考えていて信託を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、大切な資産を見知らぬ人に預けて運用してもらうには不安があるという方もいるかもしれません。そこで、信頼のおける家族に資産運用を託してみませんか。家族信託を行うことにより、資産を預ける方の意思にそった運用をしやすくなるかもしれません。
家族信託の目的と契約内容の決定
資産を所有している方が、認知症などにかかってしまい正常な判断を下せないと医師に診断された場合、成年後見制度で法的に保護されてしまい、相続税対策として行う生前贈与や不動産の売買などが出来なくなってしまいます。そこで、資産を所有している方が正常な判断力を失う前に、信頼できる家族に資産運用を託すことで、運用の幅を広げることができます。
家族信託は、資産を預けるAさんと財産を管理するBさんとの間で契約を交わします。BさんはAさんの為に資産の管理運用をするのですが、契約の目的にあった運用をしなければなりません。たとえば「Aさんが会社を経営していて、後継者に引き継ぎをする前に認知症にかかってしまった場合、Aさんが事前に選んでおいた後継者に会社の経営を引き継いでもらえるように、Bさんが手配をする」といったことが挙げられます。契約内容をしっかりと話し合って決めることが大切です。
信託契約書の作成
契約書の作成は、事前に検討した家族信託の目的を司法書士に見てもらい、公正証書として信託契約書を作成してもらう、という流れになります。公正証書にしてもらうということは「法律に精通した公証人が、契約内容を法令に違反していないかチェックし、契約当事者の身元についても、印鑑証明書などで確認して作成する」ことになるので、公的な証明力を持つことができます。さらに、公正証書は公証役場でも保管されるようになっているので、万が一紛失してしまっても再発行してもらえます。
不動産の名義変更や信託口口座の開設
不動産を所有している場合は、登記簿謄本に信託財産であると登記しなければなりません。その際、司法書士に手続きを行ってもらう必要があります。また、信託資産に現金がある場合は、信託口座を開設して管理する必要があり、契約内容案を銀行に提出して、口座開設を行えるかどうかを審査してもらいます。
まずは専門家を交えて契約内容の相談をしてみよう
テレビドラマなどで「遺産相続で仲の良かった家族に溝が生まれる」といったシーンはよくありますよね。元気な時に自身の資産運用の仕方を考えておくことで、万が一の際にもトラブルに見舞われることなく、近親者に有効かつ円満に対処してもらえるのではないでしょうか。その対策の一つとして、家族信託について家族と話し合い、司法書士に相談してみてはいかがでしょう。