家族信託の3つのデメリットと対処法
高齢化が進むにともなって、徐々に注目が集まっているのが家族信託の制度です。家族信託は、自分の財産を信頼できる家族に託して管理や処分をしてもらう制度のことです。この制度は手続きが比較的簡単にできるのがメリットですが、デメリットもいくつかあります。ここでは、家族信託の3つのデメリットを取り上げて、対処法を解説していきます。
家族信託のデメリット1:身上監護ができない
家族信託のデメリットの1つは、信託の対象が財産に限定されることです。この制度だけを利用しても、成年後見制度のように本人の身上監護はできません。身上監護は、本人に代わって施設や病院に入るときの手続きをしたり、介護保険の手続きをしたりする職務です。家族信託のみの契約だと、代理人が本人の代わりに手続きをすることができないため、不便を感じる可能性があります。家族信託だけでなく、成年後見制度や遺言書も合わせて利用するのが、問題を避けるための方法です。
家族信託のデメリット2:不正があっても発見されにくい
家族信託は、何らかの不正があったときに発見されにくいのもデメリットです。この制度は、当事者同士で契約を結び、信託を進めていくスタイルになっています。成年後見制度のように家庭裁判所の審査を通さないため、契約内容に問題があったり、適性に欠ける人を受託者に選んでいたりしても、発見がされにくいです。また、財産管理のプロセスで不正が行われていても、発見される可能性は低くなります。「成年後見制度と一緒に利用する」、「弁護士や司法書士などを介して契約する」などが、このような問題の対処法です。
家族信託のデメリット3:家族信託に詳しい専門家が少ない
平成18年からスタートした家族信託は、制度に詳しい専門家が少ないのも1つのデメリットです。家族信託のケースを実際に手掛けている行政書士や司法書士、弁護士などの法律の専門家は、まだ数が限られています。経験豊富な専門家がなかなか見つからないことに、不便を感じることがあるかもしれません。こういった状況では、インターネットなどを活用して家族信託に詳しい法律家を探すのが1つの対処法になってきます。家族信託のコースやプランを用意している専門家に相談すれば、役立つ情報が得られる可能性があります。
成年後見制度や遺言書と併用するとより確実
ここで取り上げた家族信託は便利な制度ですが、問題点もゼロではありません。成年後見制度や遺言書と上手に併用することが、トラブルを避けるコツになるでしょう。制度を利用するときには、必要に応じて専門家にサポートしてもらうことも大切です。制度の仕組みや手続きの方法などを調べて、ほかの制度とどのような併用が可能かを探ってみましょう。