家族信託ってどういう意味?概要や仕組みを解説!
さまざまな理由から不動産を売却したいケースがあります。しかし、所有者が認知症になっている場合など、スムーズに建物や土地を処分できないことがあるのです。そんなときに便利な制度として家族信託があり、高齢化が進んだ日本において、とても注目されています。今後、家族信託を活用する機会があるかもしれません。そこで、家族信託とはどういう意味なのか、概要や仕組みについて解説しましょう。
登場人物は3人!家族信託の仕組みとは
家族信託の登場人物は全部で3人いて、委託者と受託者、受益者がいます。信託の意味とは、財産を所有している委託者が受託者に対して所有権を移転して、受託者が受益者のために財産の管理や処分を行うことです。ただし、同じ人が委託者と受益者を兼ねるケースもあるため、必ずしも3人が関わるとは限りません。また、指図人が置かれることがあり、委託者の代わりに受託者に対して財産の管理や処分について指示を出します。信託には商事信託と民事信託があり、家族信託は民事信託です。
家族信託はどんな人に向いている?
家族信託は、家族の財産管理を家庭内で行いたいというニーズに対応した方法です。第三者を入れる必要がなく、商事信託とは異なり報酬を支払う必要もありません。たとえば、認知症になったときに備えて家族信託を利用するケースがあります。認知症では判断能力が衰えてしまい、本人が預金を引き出したり、不動産を売却したりすることができません。そこで、事前に家族信託の制度を利用していると、意思確認手続きを本人が行うことなく、受託者によって財産の管理や処分ができるのです。将来、体調や判断能力の衰えが生じるかもしれず不安になっている人に向いています。
家族信託のメリットや成年後見制度との違いは?
家族信託は家族に財産管理を任せることができるのがメリットです。成年後見制度の代用として利用できます。成年後見制度は、家庭裁判所に定期的に報告する必要があり、後見監督人を用意する場合は毎月報酬を支払わなければいけません。家族信託の場合は、これらのデメリットがなく、より柔軟に財産管理ができるようになります。あらかじめ委託者が信託契約書に財産管理の希望や方針などを残しておくことができ、受託者はそれに反しない範囲で財産管理や資産の有効活用ができるのです。
家族信託は元気なうちに家族に財産を託すための制度
元気なうちに家族信託の制度を利用すれば、財産を家族に管理してもらえます。高齢になると認知症などのリスクが高まり、判断能力が衰える可能性が高いです。家族信託を利用しておけば、本人に意思確認をすることなく、家族が財産の管理や処分を実行できます。自分の所有する財産の管理について不安を抱いている人は、家族信託で家族に大切な財産を託しておきましょう。