不動産を家族信託をすると登記はどう変わる?
保有する不動産や預貯金といった資産を、信頼できる家族に託し、その管理や運用を任せる財産管理手法の一種である「家族信託」。
家族信託をした場合に、土地や建物といった不動産が信託されるケースが多くあります。
その場合に、不動産の登録名義(形式的な所有者)などの登記はどう変わるのでしょうか。今回は、その記載例についてご紹介します。
□家族信託の登記内容(信託目録)
家族信託で不動産の名義変更を行う際、その登記事項は以下の11項目で規定されており、登記簿の信託目録に記載されます。
1.委託者・受託者・受益者に関する事項(氏名・住所)
2.受益者の指定の条件・受益者を定める方法
3.信託管理者の氏名(名称)・住所
4.受益者代理人の氏名(名称)・住所
5.受益証券発行信託の場合はその旨
6.受益者の定めのない信託の場合はその旨
7.公益信託の場合はその旨
8.信託の目的
9.信託財産の管理方法
10.信託の終了事由
11.その他の信託の条項
登記手続きは、「信託」を原因として所有者から受託者への所有権移転及び信託を目的とした手続きとなります。
従来の所有者である委託者が、そのまま信託の受益者となる場合には、財産権が所有権から受益権に変わっただけで、実質的な財産の帰属は変更がありません。
そして、受託者=受益者の場合、贈与税も不動産取得税も課税されません。
また、不動産の登録名義は委託者から受託者に移転することになります。
例えば、委託者を父、受託者を子、受益者を父とする家族信託において、名義(形式的な所有者)は子となります。
□信託条項
信託目録の中の8~11は、信託条項と呼ばれます。
何のために信託が設定されたのか(例えば、受益者の資産を適切に管理・活用する)という目的に加えて、受託者の権限、信託がいつまで継続するか、死亡後の資産の継承先などが記載されます。
これにより、受託者の管理処分に関する権限がどこまであるのか、委託兼受益者が死亡しても信託契約が継続しているのかどうかといったことが、不動産取引先に確認できるような登記となります。
□まとめ
家族信託は、不動産の共有回避策としても活用できますし、ランニングコストがかからないことがメリットとして挙げられます。
そのため、初期投資は惜しまず確実な書面作成に尽力することも選択肢の一つとして挙げられます。
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