家族信託は他の相続対策とどう違う?特徴やメリットを解説!
相続の現場では、様々なトラブルが発生することがあります。これに備えるために様々な相続対策が行われているのですが、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、必ずしもうまくいくとは限らないようです。そのような状況の中で、新しい相続対策の方法として家族信託が注目を集めています。家族信託とはどのような方法で、これまでの相続対策とはどのような違いがあるのでしょうか。
成年後見制度との違いは?
家族信託の特徴について、各種相続対策と比較しながら、具体的に確認してみましょう。成年後見制度との違いとしては、制度の柔軟な運用が可能であることがあげられます。成年後見制度は判断能力が不十分になった人の意思を尊重し、これを保護するための制度です。本人の後見人が指定され本人に代わり各種の意思決定を行いますが、一方で各種の制限が課せられています。後見人は裁判所に対して定期的な報告を行うことが義務付けられていますし、本人の利益に反する財産処分を行うことはできません。また本人の財産を親族に対して、贈与することや貸し付けることも認められないのです。一方の家族信託にはそのような制限はないため、信託契約書に定める内容の範囲内であれば、本人の財産の自由な運用が可能になるというメリットがあります。
遺言書との違いは?
遺言書は本人が死亡した後の、財産の分割方法などを指定できる制度です。遺言書を残せば法律による制限の範囲内で、故人の遺志に基づいた財産分割を実現することができます。ただし被相続人の中に高齢等で意思能力が不十分な者がいる場合には、遺言書による備えだけでは不十分かもしれません。家族信託では受託者(財産を管理する者)と受益者(財産により利益を得る者)を分離して指定することができるため、被相続人の中に高齢等で意思能力が不十分な者がいる場合にもスムーズに相続の手続きを行うことができます。さらに相続後の財産の管理についても安心なのです。
生前贈与との違いは?
生前贈与は本人が生きているうちに、財産を子供などに譲り渡す制度です。生前贈与では財産の所有権が受贈者(贈与を受けた人)に移り変わるため、贈与者(贈与をした人)は財産に関する一切の権利を失うことになります。例えば実家の不動産を子供に生前贈与した場合には、子供はこれを自由に処分して、処分した代金を自分のものとすることができるのです。一方の家族信託では、財産に関する権利の一部のみを移転することが可能になります。家族信託で財産を管理する権利のみを子供に移転すれば、子供が実家の不動産を売却したとしても、その代金を受け取る権利は親に保留されます。家族信託を活用すれば、親の意向を反映した財産の譲渡が実現するのです。
家族信託は家族間のみで財産管理ができる
家族信託には上記のように様々なメリットがありますが、家族間のみで財産管理ができることも大きな特徴だといえるでしょう。裁判所や信託銀行などが関与することなく、家族だけで財産の管理を行うことができます。財産の中に不動産が含まれている場合にも、家族信託はおすすめの相続対策の方法になります。家族信託であれば相続財産を様々な方法で活用することができるのです。