「一気に大金を贈与すると贈与税がたくさんかかるから、毎年ちょっとずつ分けて贈与することにしよう！」

このように思っている方はいらっしゃいませんか？

確かにこの方法を使えば、時間はかかりますが、贈与税を一切支払わずに大金を贈与することは可能かもしれません。

しかしこの方法は、『定期贈与』であるとみなされる危険があることをご存じですか？

今回は、定期贈与と連年贈与との違いとともに定期贈与の注意点についてご紹介します。

□定期贈与と連年贈与の違いは？

この二つの決定的な違いは贈与税がかかるのか、かからないのかです。

定期贈与とは、はじめに「〇〇万円を贈与する」と約束を交わし、支払いは定期的な分割払いにすることを言います。

この場合、そのお金を一括で贈与した場合と同じ贈与税を請求されます。

連年贈与とは毎年行われる贈与のことを言い、年毎に単発の贈与契約をしていれば連年贈与とみなされます。

事前に「〇〇万円を贈与する」という約束の有無により定期贈与か連年贈与なのかが変わり、贈与税の課税の有無も決まるというわけです。

□さらに詳しく、暦年贈与とは？

1年間の贈与総額が110万円を超える贈与を受け取った人は、贈与税を支払う必要があるのです。

その税額は贈与総額から110万円の『基礎控除』額を差し引いた課税価格によって控除額や税率が決定されます。

住民税や所得税にもあるので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

つまり、年間で110万円までなら贈与税を支払う必要がないということです。

そのため、例えば1年につき100万円の贈与を10年間続けても

あくまで1年間の受け取り金額は基礎控除額である110万円よりも少ない100万円なのですから、贈与税はゼロとなりますね。

□もし、これが『定期贈与』とみなされた場合の贈与税額は？

1年につき100万円の贈与を10年間続けたら、先ほどもご紹介したとおり、普通に考えたら贈与税はゼロになりますよね。

しかしながら、このケースは『定期贈与』であると見なされる危険があるのです。

上記でも記したように、贈与を始める前に「○○万円を贈与する」と約束をして、その支払い方法として定期的な分割払いをしている状態を定期贈与といいます。

定期贈与であると見なされた場合、10年で贈与し終わる1000万円分の贈与税を請求されることになります。

定期贈与であるとみなされなければ贈与税はゼロだったはずなのに、定期贈与であるとみなされた瞬間に、1000万円分の贈与税177万円がかかってしまうのです。

□どうしたら定期贈与とみなされるのを回避できるか？

贈与契約書を作ることが、定期贈与だとみなされるのを防ぐのに一番有効です。

何の申告もなく何年にもわたって基礎控除額ギリギリの金額が贈与されていると、「あらかじめ110万円以上の大金を贈与する約束をしていたのではないか？」と疑われてしまうことがあるのです。

そんなときに助けてくれるのが贈与契約書です。

毎年贈与契約書によって「今年は110万円以下の贈与がありました。」という申告をしましょう。

あくまでも長期的な計画ではなく、その都度、単発の贈与契約が結ばれたということを申告するのです。

そうすることで、「たまたま110万円以下の贈与が毎年あった」ということを示すことができます。

□最後に

今回は、定期贈与についてご紹介しました。

何の対策もせずに毎年110万円以下の贈与を受け取っていると、思いもよらない課税を迫られる危険があります。

リスク回避をするためにも、贈与契約書を作るなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。

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