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高齢ドライバーの『運転技能調査』の実施

2022年5月13日より、一定の違反歴のある七五歳以上の高齢ドライバーを対象に、運転免許の更新時に、実際に車を運転して能力を確認する「 運転技能調査」の義務化を調査庁が発表しました。無事故無違反を継続している優良ドライバーには、この検査を受ける義務は課せられません。

これは近年、高齢ドライバーによる重大な事故が多く発生していることを受け、2021年6月に成立した改正道路交通法に基づき新設されたものです。運転技能検査は、免許有効期限の六ヶ月前から何度でも受験可能で、何回不合格でも期日までに合格すれば認知機能検査へと進み、認知症でないと判断された後、一般の高齢者講習へと進むことができます。期日までに合格できなかった場合、認知症の有無に関わらず運転免許証を更新できませんが、原付免許やフォークリフト、除雪車や農耕トラクターなどの小型特殊免許は希望すれば継続することが可能となります。

運転技能検査の対象となる違反歴は次のうち十一項目です。これらのうち一つでも違反したものがあれば検査の対象となります。『 ①信号無視②逆走などの違反③追越車線などの走行④速度超過⑤Uターン禁止などの違反⑥踏切不停止や遮断機内進入⑦交差点右折時の違反⑧交差点進行時の違反⑨横断歩行者妨害⑩前方不注意など安全運転義務違反⑪携帯電話を操作しながらの運転』これらの違反歴のあるドライバーは、死亡・重症事故の発生率が通常より約二倍高まると言われています。法改正後は、免許更新通知が届いた時点から過去三年間、このうち一つでも違反を犯している場合、運転技能検査を受けなければなりません。

高齢者ドライバーの免許返納を推進していった場合、今後の課題となるのは高齢者の移動手段です。地域によっては、自動車しか移動手段がないという場所もあります。それを理由に免許を返納できないケースも一定数あることを踏まえて施策を進めていく必要があります。近年は「 サポカー限定免許」の創設も決定しています。サポカーには、自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置等の先進安全機能が搭載されており、事故率を大幅に下げる第一歩になります。サポカー限定免許は、運転免許証を持っている人であれば誰でも申請することができ、運転免許証の自主返納をためらっている高齢者の積極的な切り替えとなると考えられています。また今後は、AIが操縦する自動運転バスやタクシーが高齢者の新たな移動手段として配備されるなど、安全な移動手段が広がることを期待しています。